2018 / 9 / 11

絶滅危惧種に会いに行く | コアラ in 東山動植物園

エコレポ Vol.1

サイトーがレポーターになり、地球環境に配慮した取り組みを実際に見て・聞いて・体験し、お伝えする「エコレポ」。

Mako Saito

こんにちは、コアラ大好きサイトーです。今回はブラザーの本社がある名古屋市にある東山動植物園へ、絶滅が危惧されている動植物に会いにやってきました。私たちのウェブサイトでは「日めくり絶滅危惧種」といったコンテンツを公開し、生物多様性をわかりやすく、お伝えするよう努めています。今回はサイトーの目線からコアラについてレポートしたいと思います。

東山動植物園の今西さんに聞きました。

Mako Saito & Imanishi Tetsuya Tetsuya

左:今西 鉄也 さん/東山総合公園 教育普及主幹  右:サイトー/ブラザー工業

Mako Saito

東山動植物園にいるコアラは今、7頭ですよね。最初にコアラを飼育しはじめたのはいつ頃なのでしょうか。

Imanishi Tetsuya

東山動植物園は、1984年に日本で初めてコアラを公開しました。オーストラリアのシドニーと名古屋が姉妹都市提携を結んでいて、交流を行っていくなかでコアラが贈られました。当時、東山動植物園の他にも多摩動物公園と、平川動物公園に、各2頭ずつ来園しています。その後、繁殖を重ね、またオーストラリアから新たな導入もあり、昨年末における国内飼育頭数は44頭となっています。

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Mako Saito

コアラが絶滅を危惧されるまでに数が減ってしまった原因について教えてください。

Imanishi Tetsuya

ずっと昔は、毛皮を目的に狩猟をされていました。ヨーロッパ人がオーストラリアへ入植してから1900年代初頭までの話ですが、それによってガクっと数を減らしました。それからは開発などによって生息地が減少したことが大きいです。生息地が残っていても分断されてしまうとコアラは移動できなくなり、繁殖に影響がでてきます。

コアラは2メートルくらいはジャンプして木から木へ移動しますが、地上に降り歩くこともあります。その際に幹線道路に出て交通事故にあってしまうコアラも少なくないと聞いています。その他にも、森林が乾燥して山火事が起こり生息地が減ったり、野犬によって襲われたりといったこともあるようです。

IUCNの絶滅危惧種にリストアップされたのは2016年、今は30万頭くらいいるといわれていますが、どんどん減っていって、今後も減っていく傾向にあるようです。

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Mako Saito

様々な原因でユーカリの木がある生息地が減ってしまったことで、コアラも減ってしまったということですね。

本当にユーカリしか食べられないのですか?

Imanishi Tetsuya

コアラは、ほぼユーカリの葉と芽しか食べません。したがってユーカリのない場所では生きられないので、ユーカリの減少が一番の問題ですね。オーストラリアにはユーカリが自生していますが、毒となる物質をもっているためエサとして食べる動物がもともといませんでした。そこにコアラが進出してきたといわれています。他の動物たちがやって来ない安全な場所で、コアラは今日まで生き残ってきたと考えられます。人間によって開発され環境の状況が変わったりすると、ユーカリしか食べられないコアラは大きな影響を受けることになります。

Mako Saito

対応策として、ユーカリの木を増やすことは大変なのでしょうか。

Imanishi Tetsuya

ユーカリを植えられそうな場所があったとしても、そこにユーカリを植えてコアラを増やすというのは、他の動物にも影響があるかもしれないので、なかなか難しいのではないかと思います。

コアラがいなくなった場所に、別の場所で増えすぎたコアラを再導入する取り組みは、一定の成果をあげていると聞いています。とはいえユーカリの数は限られていますし、コアラも地域によって種類が違うので単純に移動させるというわけでもないのです。

東山動植物園のコアラ飼育と取り組み

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Imanishi Tetsuya

ユーカリは600種類以上あるのですが、コアラが食べられるのは35種類程度といわれています。しかも35種類まんべんなく食べるというわけではなく、コアラによって好みが分かれます。

東山動植物園では、コアラたちがよく食べる9種類のユーカリを中心に育てています。体調が悪くなり食欲が落ちているときに、いつもと違うユーカリを与えると食べることもあるので、量は多くありませんが、他にも20種類のユーカリを栽培しています。

Mako Saito

コアラにも好き嫌いがあるのですか!ちなみにどこでユーカリを育てているのでしょう?

Imanishi Tetsuya

東山動植物園の場合は、同じ名古屋市千種区にある平和公園に1万本くらい。あと静岡県浜松市の引佐にある山で業者の方にお願いしてつくってもらっています。寒さに弱い種類のユーカリは鹿児島と沖縄でも栽培しています。飛行機で運んできてもらうので輸送費はかかっちゃいますが。

Mako Saito

全国の動物園のコアラ繁殖について、リーダーシップを取られていると聞いたことがあるのですが、どのような取り組みをされていますか?

Imanishi Tetsuya

最初は多摩動物公園の方が国内のコアラの血統を管理されていましたが、コアラが日本にきて3、4年経ってから東山動植物園がその役割を担うことになり、今日まで続いています。他の動物園からコアラを預かってほしいとか、コアラを貸してもらえないかという要望を聞き、将来計画を立てたうえで話をまとめています。リーダーシップを発揮するためにもエサのユーカリをしっかり確保して、いつでもコアラを受け入れられるような体制をとっていかないといけません。

他の動物園とは違い、東山動植物園はコアラの飼育係員だけでなく、ユーカリの栽培を専門にしている職員がいるので、他の動物園からの様々な要望や相談に応えやすい環境にはあります。

Mako Saito

動物園はどんな役割をもっていますか?

Imanishi Tetsuya

コアラの数を増やして将来に亘って動物園で飼育できるようにするという種の保存の役割があります。また、コアラが絶滅危惧種となっている現状を多くのみなさんに伝えるとともに、コアラだけでなく他の動物も危機にあり、どうしたらいいでしょうか・・?と、問題を投げかけて生物多様性の保全につながっていくような啓発活動を行うことも動物園の大きな役割です。とくにコアラは人気があるので、動物園の伝えたいことをコアラにからめれば、多くの方に興味を持って聞いてもらえると思います。

コアラの数を増やすためできること

Mako Saito

コアラが絶滅危惧種から外れるよう、私たちに出来ることは何かあるのでしょうか。

Imanishi Tetsuya

まずは、コアラのことを動物園や図鑑、テレビででもいいので、少しでも知っていただきたいです。学んだことを、ご家族やご友人に話していただいて、さらにコアラは絶滅の危機にあるので、ひょっとしたら将来見られなくなってしまうかも・・と何かの機会に伝えていただくと、それが回りまわって生物多様性の保全につながっていくと思います。

Mako Saito

私もこういった仕事に関わってからコアラの状況を知りました。先日、友達6人で動物園に来たのですがコアラが絶滅危惧種だという話をしたら、みんな知らなかったですし、とっても関心をもってくれました。今日、お話をうかがったことも知識として伝えていきたいと思いました。

Imanishi Tetsuya

そうですね!知っているからこそ一歩進んで周りの方に伝えていただけると、ありがたいです。直接、私たちが出来ることは少ないですが、コアラが絶滅危惧種だという認識が広まっていくと、保護の気運が高まって支援に立ち上がる企業やNPOがさらに増加するかもしれません。動物園としては、取っ掛かりとなる情報を発信していくのが大事であると考えています。

Imanishi Tetsuya

東山総合公園 教育普及主幹

今西 鉄也 さん

コアラの鳴き声は特徴があります。人によって捉え方は違うかもしれませんが、私には「ぶひーぶひー」とブタが鳴いているように聞こえます、、、かわいくないです(笑)。コアラ舎の横にブラザーさんにつくっていただいた学習コーナーがあり、ボタンを押していただければ鳴き声を聞くことができます。ぜひ聞いてみてください。

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サイトーの学び

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サイトーの学び

動物園で会える人気のコアラが、絶滅危惧種になっていることを知らない人は多いと思います。地球の裏側の出来事はなかなか実感しにくいですが、動物園で同じ地球にくらす動物たちが抱えている状況を学べます。動物園の役割は、とても重要だとあらためて考えることができました。

Mako Saito

サイト―

ブラザーグループの「地球環境への配慮」を、自分なりに足を運び、分かりやすく伝えます。ちょっとした環境配慮を意識するきっかけになってほしいです。

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