2018 / 9 / 28

絶滅危惧種に会いに行く | フクロテナガザル in 東山動植物園

エコレポ Vol.2

サイトーがレポーターになり、地球環境に配慮した取り組みを実際に見て・聞いて・体験し、お伝えする「エコレポ」。

Mako Saito

こんにちは、動物大好きサイトーです。今回も名古屋市にある東山動植物園へ、絶滅が危惧されている動植物に会いにやってきました。鳴き声が面白い!とテレビで紹介され、一躍人気者のフクロテナガザルのケイジくん。実は絶滅を危惧されている動物なんです。生物多様性をわかりやすく、お伝えするべくサイトーがレポートします。

東山動植物園の今西さんに聞きました。

Mako Saito & Imanishi Tetsuya Tetsuya

左:サイトー/ブラザー工業 右:今西 鉄也 さん/東山総合公園 教育普及主幹

Mako Saito

フクロテナガザルは絶滅危惧種ですが、そうなってしまった原因はどんなものがありますか?

Imanishi Tetsuya

絶滅危惧種の多くに言えることですが、生息地の破壊です。フクロテナガザルの場合も、生息地である森に道路や、コーヒー農場がつくられました。他にも、アブラヤシのプランテーションも東南アジアでは大きな問題になっています。しかし現地の方にとっては生きる糧なので、動物や環境のために止めて・・・と簡単に解決できるわけではないと思います。
あとは、ペットとして売るために捕獲されたことも数を減らした大きな原因です。現在は、ワシントン条約で一番厳しい商業取引禁止対象種となっています。

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Mako Saito

生息地が減ってしまったのですね。狭くなった森ではフクロテナガザルは暮らしにくいのですか?

Imanishi Tetsuya

フクロテナガザルは群れではなく、つがいで暮らします。縄張りを持ち、一定の広さを必要するので、森が狭くなることはテリトリー争いに繋がります。

Mako Saito

現在のフクロテナガザルは“絶滅危機”としてレッドリストに指定されています。この状況は改善が難しいのでしょうか?

Imanishi Tetsuya

最近の網羅的なデータがないようで、一番新しいデータでも30年前くらいのものです。その際は36万頭いたとのことですが、他の文献では40年で半分に減ってしまったともあります。
生息地は小さくなることはあっても、元に戻ることは考えにくい状況です。いかに今の頭数を維持するか・・・、当面はそれくらいの対応しかできないかもしれません。

東山動植物園のフクロテナガザル「ケイジ」と「マツ」

keiji & Matsu

左が「ケイジ」、右が奥さんの「マツ」。

Mako Saito

東山動植物園のフクロテナガザルはテレビなどで人気と聞きました。実は私、はじめてフクロテナガザルを見ました。

Imanishi Tetsuya

フクロテナガザルは名前のとおり手が長く、喉(のど)に袋があります。鳴くときはこの喉の袋をふくらませ、共鳴させて大きな音を出しています。その鳴き声は2キロくらい先まで届きます。鳴くことで他のフクロテナガザルに自らの縄張りだと知らせる意味があります。また、オスとメスが鳴き交わすことによりつがいの絆が維持、強化されるそうです。
“腕わたり”といって前方にある木の枝などを両手で交互につかんで空中を勢いよく移動する姿が見ていて面白く、さらに鳴いても面白い動物です。
今、東山動植物園にいるフクロテナガザルは「ケイジ」と「マツ」の2頭で、つがいです。このケイジの鳴き声が“おじさんっぽい”と言われています。実はこのおじさんのうめき声のように聞こえる鳴き声はケイジのオリジナルなんです。

Mako Saito

他のフクロテナガザルは、こんな鳴き声ではないのですか!たしかに奥さんのマツさんは全然違う鳴き声ですね。ケイジくん、いつでも鳴くわけではないのですか?

Imanishi Tetsuya

だいたい1日4回ぐらい、午前に2回、午後に2回というパターンで鳴くことが多いです。フクロテナガザルは、縄張りをアピールする習性があるせいか、人がたくさん集まると鳴いてくれるようです。鳴き声が聞きたい場合は人をたくさん集めて、静かに見守っていただければと思います。

Keiji

ペロっと舌をだし、そして「あ゛~~~~」と雄叫び。まわりにいる人からドッと笑いが起きます。

Mako Saito

ケイジくんには申し訳ないのですが、思わず笑ってしまいます。鳴き声以外で注目すると面白いところなどはありますか?

Imanishi Tetsuya

フクロテナガザルは夕方には建物内へ収容することになっているのですが、気まぐれで入ってくれないことがあります。最近はどうかわかりませんが、ケイジは女性の職員に呼ばれると簡単に中に入ってくれました。飼育員でない女性が呼び掛けても寄って来てくれたのですが、ただ若い女性には反応してくれませんでした。

Mako Saito

そうなんですね!(笑)フクロテナガザルについていろいろ知ってファンになりました。

Imanishi Tetsuya

「フクロテナガザルは鳴き声が面白い」と、興味を持っていただいたので、もう一歩踏み込んで野生のフクロテナガザルがどういう状況に置かれているかについても調べ、ご家族やお友達に話してみてください。知ってもらうことが何かのきっかけになるはずです。

Imanishi Tetsuya

東山総合公園 教育普及主幹

今西 鉄也 さん

ケイジは鳴く前に舌を出して“あっかんべー”をします。これはフクロテナガザルの習性ではありません。何かの拍子に舌を出したところ、お客さんが反応したことから、面白がってそのタイミングで“あっかんべー”をするようになったのかもしれません。鳴くことは縄張りアピールなのですが、実際のところは皆さんがどっと湧くのを見て楽しんでいるのでは・・・と思ってしまいます。

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サイトーの学び

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サイトーの学び

おじさん声でみんなを和ませてくれるケイジくんと奥さんのマツさんも絶滅危惧種という現実を背負っています。無くなってしまった森を戻すことは難しいというお話を聞いて、なかなか単純な話ではないのだと感じました。絶滅を危惧されている動物たちのことを学び、まわりの人に伝えるという私たちのできることから始めたいと思います。

Mako Saito

サイト―

ブラザーグループの「地球環境への配慮」を、自分なりに足を運び、分かりやすく伝えます。ちょっとした環境配慮を意識するきっかけになってほしいです。

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