森と人をつなぐ

地域・大学との産官学連携について紹介します。

産官学で取り組む
森づくり

ブラザーは、2008年に岐阜県および郡上市とともに、郡上市白鳥町のスキー場跡地や、美並町・八幡町の人工造林地など計3カ所のエリアを対象に森林の復元や保全を目指す協定を締結。それらを「ブラザーの森 郡上」として環境保全活動を続けてきました。
さらに2014年からは名古屋大学大学院環境学研究科にコンサルティングを依頼し、産・官・学の三位一体の活動としてより学術的な活動へと発展させてきました。今後も持続可能な地域づくりのために協働していきます。

交流も深まる植樹ツアー

主な活動である植樹ツアーは、毎年春と秋に行われ、ブラザーの従業員とその家族が参加してきました。この活動は、多様性に富んだ豊かな森の回復に貢献するとともに、地域の方々との交流を促進する機会にもなっています。これまでのツアーでは地域の方による天然木を使ったスプーン作りのワークショップや、地域の方や名古屋大学の先生による講演、トークセッションなども開催しました。普段聞くことができない、森や河川、昆虫などの興味深い話題を参加者も楽しんでいました。

名古屋大学との
協働

2014年から、名古屋大学大学院環境学研究科 臨床環境学コンサルティングファームの支援を受け、植樹計画を作成しています。
植樹した木の成長を追跡・分析し、気候やエリアに合わせた効果的な植樹を行なった結果、森全体に豊かな生態系が回復してきました。

多様な生物が
暮らせる環境づくりへ

高野雅夫 教授

大学院環境学研究科
附属持続的共発展教育研究センター長
臨床環境学コンサルティングファーム部門

2014年から「ブラザーの森 郡上」における森づくりのコンサルティングをさせていただいています。白鳥町の森で植栽木の追跡調査や生態系・土壌の調査を行うと、活着率が低いことや、土壌の状態が場所によって異なること、多様な生物が生息していることなどが分かりました。環境を生かし、樹林、草原、湿潤地の3つにゾーニングすることで、多様な生物が暮らせる森づくりを目指していこうと考えています。

生物多様性の復活と、
学術的な貢献

白鳥町の森ではゾーニングによる管理を進めた結果、日本の固有種であるギフチョウをはじめ、里山を好む希少な動植物が多くみられるようになるなど、森に生物多様性が戻ってきています。まだ学術的にはっきりとはわかっていない、森の再生やギフチョウの生態などについても、この場所で調査や活動を続けることで理解が進むと期待しています。八幡町の森と美並町の森は、スギやヒノキなどの針葉樹による人工林で、ブラザーによる支援後に間伐が行われたと聞いていますが、間伐することで日の光が地面に当たり、現在は非常に多様な植物の生育を観測できており、生物多様性という面で非常に良く森が管理されていると思います。